広告で何を使えるかをはっきりと把握し、消費者やユーザーの価値観や競合他社の広告戦略を見ながら、広告の方向性を練っていく必要があります。
今回は、広告の目的と7つの戦略と方法についてご紹介します。
目次
どんな広告が適切なのか?
広告は、商品と消費者の関係づけという考え方があります。
言い方を変えると、商名やブランド、ロゴなどとその商品の機能やしくみ、そしてその商品の持つ雰囲気などの関係づけを、消費者がいつでもイメージできるような状況を作れれば、その広告は成功したとも言いかえられます。
広告には、どのような広告表現をすれば適切かをあらわす公式やセオリーはありません。
最適な広告は、会社の組織文化やそれまでの広告の量や質・消費者の価値観・商品の流通状況・競合他社の広告戦略や時代のトレンドに大きく左右される為、その都度最適な広告はどのようなものかを考え出す必要があります。
このように、広告は「世間に広く知らせる」為に、訴求すべきターゲット層にマッチするデザインを考え、アウトプットすることが必要です。
広告で何を伝えるか
広告でよく見る・使われている手法をキーワード・文言・言い回しを交えて下記4つに分けられます。
銘柄の特性
商品の特性が分かりやすく、その特性に対する消費者のニーズがはっきりとしているときに用いられ、よく見かける広告の手法です。
消費者の欲求の顕在化
消費者がニーズに関して無知な時、その隠れたニーズを指摘することによって欲求を喚起する方法で、興味がなくてもハッとさせられて見てしまう広告です。
消費者に効用を理解させる
その商品を手に入れたり、使用したりすることでどのような効用が期待できるかを伝え、ファブリーズの「一吹きでクリーニング級の消臭パワー」や、「ハリ、コシ、ボリュームを実感」が、これにあたります。
商品使用体験の変容
その商品を使用することでどんな感覚を持つことができるかを表現します。「この洗剤で洗うとフワフワ」とか、「ハーブの香りの心地よさ」などが、これにあたります。
7つの広告戦略
広告を制作する際、商品の特徴や製品のポジショニングを考慮して、効果的な戦略を立てる必要があり、主に以下の7つのクリエイティブ戦略が挙げられます。
普遍戦略
商品の特徴をそのまま語る方法で、競合商品がない場合に有効です。
ターゲットがどこにあるかがわかっていればすぐに使える戦略です。
先取り戦略
昔、アサヒビールが「うまさの秘密は、酵母にあった」という広告で、その酵母の名前まで明かし、ビールのうまさの秘密として出しました。
どのビール会社も酵母には名前(コードネーム)をつけて研究しており、他社にとっては別の酵母が「うまさの秘密」です。
ところがそれを最初に広告に出したアサヒビールはこの広告を打つことによって、同様の表現を他社がすることを禁じ、他社が同じようなことを表現したら、明らかにアサヒビールの真似をしたと思われてしまいます。
このように先にあることを訴えることによって、他社を二番手に見せてしまう方法が先取り戦略です。
USP戦略
USP(Unique selling proposition)の重要なキーワードのひとつで、広告の内容をUSP(ユニークで売れる主張)にするためには3つの要素を守らなければなりません。
まず一つ目は具体的な商品価値が含まれること。
二つ目は競合銘柄が使用していないユニークな内容であること。
そして、三つ目はそれが売れる主張でなければならないということです。
イギリスの広告会社WPPの幹部にして社長だった人物で、「広告の父」とも呼ばれるデビッド・オグルビー氏がつくった「100キロで走る新型ロールスロイスの車内で、一番の騒音は電子時計の音でした」というコピーは、この3つの要素を見事に満たしています。
ブランドイメージ戦略
ブランドイメージ戦略が生まれた最初の頃、酒類・煙草、シャツなどのように機能において競合商品と大きな差異が見つけられない商品について差別化をはかるときにこの戦略が使われました。
この際、ブランドに高級感のあるイメージを植えつけたのです。
シンボルとしてイメージキャラクターのようなモデルや有名人が使われ、現在の日本では、高級感を生み出したい商品ほど、商品特性に寄った広告がつくられるようになっています。
そのためキャラクターを使用するのは多くの場合、親近感を生み出したいお菓子、飲料などに絞られます。
特に近年は、ブランドの戦略は多岐にわたるようになり、その意味も深くなりました。
ポジショニング戦略
ポジショニングをはっきりさせることで数ある競合商品のニッチを探し、その潜在需要を喚起する戦略です。
有名な「ポッキー・オンザロック」や「旅にポッキー」、「ブランデー、水で割ったらアメリカン」「おなかがすいたらスニッカーズ」がこれにあたります。
同調戦略
消費者が普段よく体験しそうなシーンを商品情報に乗せて再現する手法です、ソニーのスタミナ・ハンデイカムの、運動会で親が撮影する広告や、セブンイレブンの「あいててよかった」などがこれにあたります。
消費者のライフスタイルの分析によって得られる情報を利用した方法です。
感性戦略
消費者にインパクトを与え、競合商品より目立つことを目的としている手法で、広告の目的が何よりも知名度アップをめざすとき、この戦略がとられることを見かけます。
昔であれば、ゲーム機の競合で争いシェアNo1のプレイステーションに水を開けられたセガ ドリームキャストで投じた湯川専務の広告がこれにあたります。
まとめ
他には、エッセンスの訴求や挑発といった方法など、広告文の訴求は奥が深く、色々な戦略が近年も新しく生まれています。
これらのどの戦略を使うかという視点から広告をつくるのではなく、イノベーションを働かせ、ぜひ新しい手法を生み出すことも、デザイナーの責務のような気がします。
色々な試行錯誤で生み出していきましょう。