どんなにすばらしい製品やサービスでも、発売されていることを誰も知らなければ決して買われることはありません。
当たり前のことですが、その製品のすばらしさを知ってもらって初めて、消費者は購買行動を起こすことができます。
今回は、AIDMAとプロモーション戦略の方法についてご紹介します。
目次
AIDMAとは?
消費者が、購買行動を起こすまでの過程をわかりやすく表現したものがAIDMA(アイドマ)です。
消費者が商品を買うまでの行動は、「注目(Attention)ー興味(Interest)ー欲求(Desire)ー記憶(Memory)ー購買行動(Action)」で動くと言われ、これらの頭文字を並べてAIDMAと言われています。
たとえばある主婦がテレビCMで「綺麗な白を身につけようオフホワイト」とコピーを何度も聞き、なんとなく注目してしまいます。
すると主婦はオフホワイトに興味を持ち、ある日、女性誌を読んでいるとオフホワイトの広告が載っています。
その広告には「白を身につけようオフホワイト」というキャッチコピーの他に「活性酵素が生地を傷めず白くする」と書かれています。
するとその主婦は「活性酵素が白くするなら一度試しに洗ってみたい」との欲求を持つかもしれません。
そして「オフホワイト→うれしい白→活性酵素」と記憶を持つようになり、後日、スーパーや薬局で目に止まったオフホワイトに対して「活性酵素が白くするのか」と購買行動を起こします。
このように、消費者が実際にある商品を買うまでのプロセスをAIDMAと言います。
コミュニケーション・ミックス戦略
消費者の心理はステップによって変化していき、プロモーションを考える側は、AIDMAのそれぞれの段階を生み出すためのステップとして、プロモーション戦略を考えていく必要があります。
注目させるにはどうするか?興味を持たせるにはどうするか?という具合で、プロモーションの手段には、「広告」「販売促進」人的販売「パブリシティ」「クチコミ」があります
これらのコミュニケーション手段を統合して戦略化したものをコミュニケーションミックス戦略と呼び、プロモーションを最適に組み合わせる戦略だともいえます。
これらのプロモーションを、消費者の行動に対応させてミックスしていくことが、プロモーション戦略の大きなポイントです。
広告
媒体を通じて、消費者に一方的に伝えられる商品情報です。
媒体としてはテレビ、ラジオ、インターネット広告、新聞、雑誌、看板、ダイレクトメール、屋内外ディスプレイなどがあります。
販売促進
消費者に購買の動機づけを行なう行為で、試供品を提供するサンプリング、割引券で動機づけをするクーポンがあります。
人的販売
人が介在して行う手法で、消費者に販売員が直接使用法や食べ方などを指導した上で買ってもらう方法です。
パブリシティ
新聞・雑誌・テレビラジオなどの情報記事で商品を取り上げてもらうことを指しま、広告とは異なりメーカーは費用負担をしませんが、取り上げた媒体が独自の視点で解説します。
クチコミ
高額で無形商材の場合、大きな影響をもたらすことがありますが、消費を目的として家庭に需要とされるような消費財の場合は、一般的にクチコミを操作することはむずかしいこととされています。
プロモーション戦略の手法
手法の違いはありますが、ほとんどのプロモーション戦略では、プッシュとプルが組み合わされており、どんなに良い製品でも店舗にあるとないとでは、ある商品のほうが確実に売れていきます。
その為、店舗に陳列してもらうためのプッシュは最低限必要ですが、陳列されているだけでは買ってもらえる機会は少なく、プルを生み出す広告が不可欠で、このように掛け合わせることで、効果を活かすことができます。
プッシュ戦略
メーカーが卸業者に、卸業者が小売業者に、小売業者が消費者にお勧めしたり援助することで製品を販売することをプッシュ戦略と言い、メーカーは卸業者に財政面での援助、製品の説明販売法の指導などを行ない、同様なことを卸業者が小売業者に行ない、その結果小売業者が消費者に対してプロモートし、購買してもらいます。
このように、プッシュ戦略は人的販売が中心の戦略になります。
プル戦略
一方、プル戦略はメーカーが消費者に対して直接広告やパブリシティを通して購買を喚起します。
すると、消費者は小売店に注文し、小売店は卸業者に発注するそしてメーカーに注文が届き小売店に向け発送します。
これは消費者に引かれるように製品が届けられるのでプル戦略と呼びます。
プロモーションの予算の作り方
プロモーション戦略の予算は様々な角度から検討し最も効果的な判断を下さねばならず、予算をこれだけかけたからこれだけ効果があるという法則はないだけに、いろいろな決め方があります。
ここでは一般的な5つの予算の作り方についてご紹介します。
売上高を基準にする「売上高百分率法」
プロモーション費用を売上高の数%に決める方法で、この方法の利点は簡単であることと過去の実績によるために安全なことだと言われています。
ですが、プロモーションが売上げを伸ばすために行なうことであることを考えればこの方法は多少矛盾があるとも言われており、プロモーションをすれば売上げを伸ばせたかもしれないチャンスに、この考え方では対応できません。
またプロモーションをしなくとも売上げを維持できるような際にも、無駄なプロモーション費を使ってしまうことになります。
この考え方の変種として利益の数%をプロモーション費用にあてる「利益百分率法」。
商品1個あたりとか1ケースあたりの広告費を決め、販売単位数をかけて広告費を決める「販売単位法」があります。
前期の費用を勘案して決める「任意増減法」
任意増減法は、一期前のプロモーション費に対して、市場動向、製品状況、財務状態などを勘案してプロモーション費を経験によって決める方法です。
この方法は科学的検討がなされないという批判がありますが、市場環境や競争事情などが単一のパラメーターではかれるものではないため、実際にはかなりの企業で採用されているそうです。
可能な限り資本投下する「支出可能額法」
支出可能額法は、財務的に可能な金額をすべてプロモーション費に投じるという方法です。
一般的にはこの方法で年間プロモーション費を計算し、プロモーション費は大きいほど効果も大きくなるので、資金力がある際には影響もも大きくなります。
とくに新製品発売の際とか、プロモーションの効果が比較的短期間に出るような商品のプロモーションをするときにはかなりの力を発揮します。
競合企業の予算を検討して決める「競争者対抗法」
競争者対抗法は、競合企業のプロモーション予算から比較検討して予算総額を決める方法で、同じ業界の売上高とプロモーション費の割合を算出して自社のプロモーション費を決めることも、競争者対抗法と呼びます。
目標を明確にする「目標課題達成法」
目標課題達成法が、最も合理的なプロモーション予算出法と言われており、今まで一緒に仕事をしてきたマーケッターや広告代理店も、この方法で算出し決定していたので、最もポピュラーな方法だと思います。
まず、プロモーション戦略の果たすべき目標課題を明確にし、その達成のためにどのような戦略を企画すべきかを提示します。
その後、必要な戦略の予算を足し、総予算を出します。
参考サイト
参考 AIDMA(アイドマ)とはグロービス経営大学院