WEBサイトの設計を行う際、ターゲットとなるユーザーを想定することは重要で、そのターゲットユーザーを絞りに絞って、具体的な人物像に落とし込む仮説手法をペルソナ設定と呼び、今や一般的に認知されています。
ペルソナは、もともとラテン語が語源で演劇において仮面を指していたのが、心理学用語で人格側面を表す用途を経て、マーケティングではユーザー像を表す用語として活用されており、製品設計やデザイン、ソフトウェアの開発で、ユーザーがどんな製品を求めているかをマインドセットするだけでなく、どんな使い方をするか?という想定を仮説立てるのにも重宝されています。
目次
ペルソナ設計の重要性
WEBサイトの設計でも、このペルソナ設定が重要で、サイトへアクセスしてくるユーザーの人物像を具体的な形で掴み、何を探していてサイト上でどういう行動をとりたいのかなど、そのポイントを掴んで、そのペルソナのニーズを満たせるコンテンツとサービスを提供していく必要があります。
これらのペルソナのライフスタイルまでプロファイリングしていくことで見えてくる、よりピンポイントで具体的なユーザーのニーズから、WEBプロモーションから事業成果へ繋がる要素がペルソナの中に多く存在しており、これがペルソナ設計をすることの重要性とも言えます。
ペルソナ設計の3つのステップ
ユーザーの人物像を掴むペルソナ設計の主な3つのステップについてご紹介します。
調査と分析で明確にする
ペルソナを作成する際は、ホームページの訪問者像を洗い出すところから始めますが、非常に大切なことながらスキップされてしまうのが、実際に調査を実施してペルソナ作りのヒントや根拠となるデータを集めるステップです。
根拠となるデータがなくては、いくら時間をかけても施策に活かせるペルソナ作りはできない為、すでに実績としてあるデータを活用し、必要であれば複数人に対してリサーチを行うなど、新たに調査を行なうことも必要です。
オウンドメディアの目的は、ほとんどの場合は新規の引き合いを獲得することにあり、その為にサービスの想定のユーザーの性別や年齢などを確認したうえで、代表的な顧客像を明確にしていく為、非常に重要なプロセスです。
ペルソナの作成
実際に調査などで想定の顧客の人物像が明らかになったら、これをもとにペルソナを設計していくステップです。
具体的なペルソナの設計は、できる限り正確な顧客像を把握するということに注意をすることが必要で、ペルソナは理想の顧客像ではなく、実際にその商品やサービスを購入する顧客をモデル化したものである必要があります。
その為、思い込みや調査データを無視した形で希望的なペルソナを作成してしまうことで、実際の人物像との乖離が生まれ、結果ペルソナ自体の意味もなくなってしまいます。
その為、できうる限り有り体で現実味のあるペルソナを作成するよう心がけることが大切です。
ユーザーシナリオを作成する
ペルソナを作成したら、個々のペルソナの行動をモデル化したユーザーシナリオを作成します。
このユーザーシナリオのプロセスは、ペルソナにニーズが生じてから情報収集をし、意思決定をして自社の商品・サービスの購入に至るまでの過程をシミュレーションし、シナリオを作っていきます。
ユーザーシナリオを作成することにより、ペルソナの行動やきっかけが明確になり、WEBサイトの制作にあたって考慮すべきことが明らかになります。
新規WEBサイトでペルソナ設計の手法
新規でWEBサイトを制作する場合のペルソナ設計は、多岐にわたる定量と定性のデータで、ユーザーを仮説立てて策定する必要があります。
WEBサイトの目的を明確にする「WHY」
その為に、まずは6W1Hで言えば「WHY」にあたる何のためのWEBサイトなのか?という目的を明確にすることが重要で、ブランディングの為のコーポレートサイトであるのか、特定のプロモーションの為のWEBサイト、または商品を販売するECサイトかなど、まずはその目的を明確にすることで、ターゲットのユーザー像が見えてきます。
ターゲットの設定「WHOM」
目的の次に考えていくのが「WHOM=誰に?」というターゲット設定で、この工程がまさにペルソナの設定になります。
ターゲットが法人・個人いずれの場合にせよ、WEBサイトを閲覧するのは人です。
その閲覧ユーザーの性別や年代、周囲の人的ネットワークをを想定していき、法人ターゲットであれば事業規模や業態を考え、個人ターゲットであれば世帯年収や家族構成まで考えていき、より詳細なペルソナ像をつくり上げていきます。
ペルソナを活用したWEBサイトの設計
ペルソナの設計が完了したら、複数できた場合には誰がもっとも自社サイトのユーザーとして適しているのかを洗い出します。
既存のユーザー群がデータであれば定量的な判断ができ、新規ユーザーに向けたプロモーションやブランディングであれば、仮説を基にWEBサイトを設計していきます。
仮に仮説であっても、より具体的にイメージをもって進めていくことで、コンテンツに説得力が生まれ、特に新規WEBサイトの場合は、打ち出し方が未だ定まりきっていない手探りでのリリースとなりますが、リリース後の効果測定の結果で、より良い結果を求めて改修していくことが非常に重要です。
既存WEBサイトでペルソナ設計の手法
既存のWEBサイトをリニューアルする場合も、ペルソナは仮説に基づいて設定することになりますが、新規でのWEBサイトの制作と決定的に異なる点は既存の実績のデータが存在することです。
実績のデータを検証し活用する
実績データを活用することで、ペルソナを設定する際にサイトのPVやUUなどのアクセスに関するデータや、問い合わせや資料請求のコンバージョン数に基づいた検証で、根拠と裏付けがある仮説を立てられるという優位性があります。
アクセスに関するデータはGoogle Analyticsや、ヒートマップなどのアクセス解析ツールを使用することで、アクセスしてきたユーザーの傾向や行動が手に取るように分かります。
これらのデータは単に見るだけでなく、「直帰してしまっていないか?滞在時間がどれくらいか?1UUは平均何ページ見ているか?」など、ユーザーの質やモチベーションを測るデータとして活用することが重要で、結果によってはサイトリリース時に想定していたケースと異なる事象が多い場合には、新たなペルソナ発掘の可能性があります。
使いやすさや導線の妥当性を見る
実績のデータを見ることで、ユーザーがスマートフォンなどのモバイル端末でどのような使い方をしているかを想定することもでき、WEBサイトのモバイルのUIが快適かなどもチェックすることができるなど、様々な発見ができるのも実績のデータがあることの強みです。
そして、リリースしたWEBサイトでの導線設計が正しく機能しているかをチェックすることも必要で、ターゲットとなるユーザーがとっているサイト内回遊の状況から、改修すべきページの要素が見えてくることは多く、また遷移の状況から見えてくる課題が浮き彫りになることもあります。
このように、アクセス解析から見えてくるペルソナ像を見いだす手段は多岐にわたる為、あらゆる角度でチェックをすることが既存WEBサイトの運用では必要な工程になります。
ペルソナはプロフィールをより具体的に
ペルソナの設定を、その人物像やライフスタイルをより細かく詳細に設定することで、ユーザーに訴求すべきポイントがより具体的に見えてきます。
年収や、家族構成などペルソナのライフスタイルを、より広く・深く設計していくことで、ペルソナの周囲にある人間関係や、接触する媒体などの相関関係をイメージしていくことで、ペルソナを取り巻く環境やライフスタイルを多岐にわたって詳細イメージ像としてつくり上げていくコミュニケーションデザインという手法を採り入れることができます。
コミュニケーションデザインを具体的にイメージしていくことで、WEBサイトでの接触後、メールマガジンでのナーチャリングなど、段階的なプロモーションの戦略と戦術が見えてきます。
WEBサイトのリリース後に効果検証を行い、正解だったのか?正解であったとすれば、さらに成果を伸ばすにはどうするべきか?不正解であったなら、どう改修すべきか?を、設計したペルソナと併せて検証を行うことが重要です。
参考サイト
参考 今さら聞けない「ペルソナ」とは。意味やマーケティング上での活用方法についてferret 参考 ペルソナマーケティングとは?|ペルソナの設定方法から注意点までSenses Lab.