WEBサイトのコンセプトメイキングの具体的な方法

具体的なコンセプトメイキングの方法

WEBサイトの開設やリニューアルにあたって、はじめに行われるのがコンセプトメイキングで、通常はWEBサイト制作のプロジェクトが開始されるとともに、WEBサイト開設者とWEBサイト制作者が共同してコンセプトメイキングにあたります。

今回は、WEBサイトを制作する際に必要となるコンセプトメイキングのプロセスと、その分析手法とヒアリング手法についてご紹介します。

コンセプトの重要性

どのようなWEBサイトもテーマがあり、WEBサイトにアクセスしてきたユーザに何かを伝えるための情報を持っており、WEBサイトによっては、各種のサービス機能やユーザとのコミュニケーション機能をもっています。

情報をユーザにわかりやすく伝えるためには的確なデザインやナビゲーションが必要で、サービス機能やコミュニケーション機能を実現するためには、システム作りや情報を格納するためのデータベースが必要です。

WEBサイトのテーマやコンテンツ、アクセスしてもらいたいユーザ層の決定やデザインの方向性の決定、サービス機能やコミュニケーション機能といった提供機能の決定など、WEBサイトを構築する目的を効果的に実現するために必要な方向付けのことをコンセプトと呼びます。

そして、WEBサイトの目的を明確化し、それを実現するためのデザインや、サービスなどの全体像を決定していくことをコンセプトメイキングといい、ユーザーとWEBサイト開設者双方の利益を最大化するWEBサイト制作のための第一歩です。

また、WEBサイトの制作では、3カ月から半年程度の制作期間が設定される場合、プロジェクトごとに分け、それぞれチームが編成されて制作が進められていきますが、与えられた一定の制作期間を通して各チーム間、チーム内のメンバー同士がコンセプトを共有している必要があります。

コンセプト設定が曖昧なまま制作が進行してしまうと、プロジェクトの内容が本来のコンセプトからそれてしまい、プロジェクト間の整合性がなくなってしまってしまいます。

新規にWEBサイトを制作する時にコンセプトメイキングが必要になるのはもちろんですが、すでに多くの企業がWEBサイトを運営している現在では、WEBサイトをリニューアルする際の新たなコンセプトメイキングが重要になってきています。

コンセプトメイキングのプロセス

コンセプトの設定は、分析的なアプローチによって課題点や問題点を抽出し、WEBサイト開設者へのヒアリングによってサービス内容の具体化を行います。

とくに、WEBサイトのリニューアルに際してのコンセプトメイキングでは、課題点や問題点を洗い出す必要があるため、定性・定量の双方を含めた分析を用いたアプローチが重視される傾向が強くなります。

分析的なアプローチから課題点や問題点が抽出され、ヒアリングによってWEBサイトのサービス像が具体化されると、WEBサイトが目指すべき方向性が決まり、これらを整理してステークスホルダーの合意のもとに、具体的なキーワードや文言として定義したものがコンセプトとなりますが、コンセプトメイキングでは、WEBサイトとしてのオリジナリティや、実現性の検証、最低限の達成目標などを加味し具体的な内容を決定していく必要があります。

コンセプトが決定すると、ステークスホルダーをはじめ制作のメンバーや、外注のスタッフなど、WEBサイト制作に関わる関係者全員がコンセプトを共有します。

そして、コンセプトに基づいたコンテンツ内容、WEBサイトのページデザイン、サービスを提供するための仕組みや技術、ブランディングなどを、各プロジェクトの担当チームがより詳細に具体化し、実際の制作を行っていきます。

分析手法

WEBサイトの種類やコンセプトにより、必要とされる分析手法は様々で、分析的アプローチは、特にWEBサイトのリニューアルや競合サイトの存在があるときには、抽出された課題点や問題点を基に改善や差別化を行うことができるため有効です。

分析にあたっては、できるだけ多角的な手法を取り入れ、さまざまな視点から課題点や問題点を抽出するように心がけます。

コンセプトメイキングのイラスト

ここでは、コンセプトメイキングでの分析手法をご紹介します。

環境分析

WEBサイトを取り巻く様々な要素間の関係性について、内的要因と外的要因を区分しながら分析を行い、課題点や問題点を抽出する方法が環境分析です。

外的要因は、WEBサイト開設者を取り巻く外部環境に起因することで、WEBサイトの開設者には解決が不可能な課題点や問題点を指します。

内的要因は、WEBサイト開設者の内部環境に起因するもので、開設者自身により直接改善や解決が見込める課題点や問題点を指します。

このように、課題点や問題点を抽出していくことで、優先的に解決すべき事項が見つけやすくなります。

ユーザの視点からの分析

最も注意しなければならない点の1つに、ユーザの視点から見たWEBサイトの利用価値を正確に把握することがあります。

WEBサイト開設者とWEBサイト制作者間の都合や思惑からのみで作られたコンセプトは、ユーザーのニーズに必ずしも合致しないことが多く、ユーザーの視点からの分析では、ユーザーのもつ年齢、性別などを考慮して、ターゲットとなるユーザーを明確にし、WEBサイトの利用価値を分析する必要があります。

シナリオ分析

シナリオ分析は、実際にターゲットとなるユーザーがWEBサイトを利用する際にどのような情報を得て、どのようなタスクを実行し、どのようにサービスを利用しているかを分析します。

分析のポイントは、ユーザが商品の魅力を十分に把握できる情報を得られているか?目的の情報へ到達するまでのナビゲーションのしかたは適切か?冗長なページ遷移はないか?購入申し込みのプロセスに不快感を与えてしまっている箇所がないか?がポイントになります。

現行サイト・競合サイト分析

WEBサイトのリニューアルにあたり、現行サイトの分析は最も基本的な分析の方法です。

現行サイトの使いやすさを分析するユーザビリティ分析、提供情報の効果測定を競合サイトと比較しながら行う競合サイト分析を実施し、課題点や問題点を抽出します。

トレンド分析

トレンド分析は、社会動向やマーケット動向などトレンドから見た提供サービスの分析や、インターネットを取り巻く技術の動向の分析を行い、制作するWEBサイトにおいて妥当性のあるサービスや、採用する技術を検討します。

マーケティング分析

WEBサイトへのPV数やUU数が重視されている場合は、マーケティング分析が必要です。

マーケティング分析では、他のメディアも含めた総合的な分析を行い、プロモーション戦略も視野に入れてWEBサイト制作における課題点や問題点を抽出します。

ヒアリング手法

コンセプトメイキングには分析的なアプローチと並行して、WEBサイトにおいて実現したい提供サービス像を具体化していく作業が必要になります。

WEBサイトの提供サービス像の把握は、一般的にWEBサイト開設者へのヒアリングによって行われ、通常WEBサイト開設者はさまざまな思惑からサービスを提供している為、ヒアリングは提供サービスに限定したものではなく、そのコンテキストも把握することが重要です。

ヒアリングでは、5W2H(Why、What、Where、When、Who、How、Howmuch)からWEBサイト開設者へのヒアリング内容を整理の上、全体像を把握してサービスの具体化を図ることが重要です。

コンセプトの設定

分析的なアプローチを重ねることで得られた課題点や問題点、ヒアリングによって得られたWEBサイトの具体的な提供サービス像を基にしてコンセプトの設定を行います。

コンセプトの設定は、ターゲットとなるユーザに対し、WEBサイト開設者がサービスを提供することで、最大限の利益をサイト利用者とサイト開設者間で受けられることを目標に設定される必要があります。

コンセプトの設定のイラスト

コンセプトの設定では、次の6つの要素のいずれかが強調されることが多くなります。

ターゲット

サービスの対象となるユーザ層を指し、年齢・性別・居住地や社会的な属性などによりターゲットの人物像が具体化され、コンセプトとして設定されます。

ターゲットはWEBサイトのあり方に広範な影響を与え、ターゲットが女性なのか男性なのかではテーマカラーやキービジュアルなどデザインの有り様が違ってきます。

コンテンツに関しても、雰囲気が伝わるようなビジュアル要素が重要で、運用面でもターゲットを考慮することは同じく重要です。

また、WEBサイトに集客するための広告を掲載する場合、広告を出向するサイトでターゲットとなるユーザ層を集めているかを考慮して広告先を選ぶ必要があります。

ポジショニング

ポジショニングは、提供するサービスが競合サイトに対して、最もよいポジションに位置付けできるようにすることを示し、他のWEBサイトとは何が違い、どのような性格をもち、どのようなカテゴリに位置付けられるサービスを提供しているかといった、競合サイトが多数ある場合や、1つの会社で複数のサービスを展開している場合に、ほかのWEBサイトとの関係性において、最適なポジショニングを目標にします。

オリジナリティ

オリジナリティは、他のWEBサイトの提供サービスにはない、独自性を打ち出すことです。

取扱商品をはじめ、情報に関しても同様で、他のWEBサイトでは手に入らないような情報はもちろんのこと、独自の分析や加工、論評などを加えることもまたオリジナリティに含まれます。

サービス提供による達成目標

達成目標とは、サービスを提供することでWEBサイト開設者が得る利益目標を示し、これは定量的な数値で明示されることが多く、PVの数や実際の売上目標額が具体的な目標値としてあげられます。

達成目標の設定は、慎重かつ現実的に行わなくてはならず、あまりにも達成が難しい目標を設定してしまうと、運営に無理が出たり、運営資金に支障をきたし、関係者の気力の低下を招いたりといった弊害を招く可能性があります。

この達成目標とは別に、必ず達成しなくてはならない、必達目標というべきものを設定する場合もあります。

必達目標は、制作に投入した費用や、その後の運用にかかる費用を回収できるだけの売上という設定が多くなります

ソリューション

ソリューションは、サービス提供による結果として既存の課題点や問題点の解決を図ることを指し、企業における業務改善を目標としたWEBサイトのコンセプトとして提示されることが多くなります。

一例で言えば、サイトへの問い合わせを電話から問い合わせフォームに切り替えることで、対応の人員を削減したり、扱っている製品に関する最新情報をWEBサイトに掲載することで、印刷と配布のためのコストを低減することも可能となり業務の改善を図ることができます。

ロードマップ

ロードマップは、WEBサイト制作や運営での長期的な計画で、大規模なWEBサイト制作では、制作期間が数カ月から1年単位に区切られたプロジェクトを設定し、段階的にゴールを目指す体制がとられることが多くなります。

コンセプトの設定では、技術、開発体制、運用・保守体制、予算などが現実性のあるものでなければならず、コンセプトをWEBサイト制作に携わる多くの人々が共有する為、誤解を生みやすい表現や意味のわかりにくい表現は避け、理解しやすく応用が容易なものとする必要があります。

その為、WEBサイトのコンセプトは通常、いくつかのキーワード、文言、またはそれらを含む概念図として表現されるのが一般的です。