オウンドメディアは決してつくることが目的ではなく、あくまでその目標や目的を達成するための手段の一つで、目的にあった運用になっているかどうかを定量と定性の二つを用いて定期的に評価しながら改善していく必要があります。
今回は、オウンドメディアのKPIと、運用の方法についてご紹介します。
目次
オウンドメディアを評価する為の適切なKPI
オウンドメディアをつくる際、業種や業態により目標や目的は様々で、最終的な目標を達成するためには、どういう状態になればよいのかを考え、適切なKPI(Key Performance Indicators:成果指標)を選定する必要がありますが、オウンドメディアは、ECサイトの売上に直結するような指標がない為、KPIの設計が難しいことも事実です。
すでにオウンドメディアを運用してきた場合は、KPIの目標値は過去の数値を参考に設定すると良く、オウンドメディアを始めたばかりという場合、過去の実績などの目安がないので、PVやUUが目標値に設定しづらい為、いったんKPIにとらわれず、記事数の増加や、UIの改善を行い、一旦はオウンドメディアとして成長させることに専念し、一定の成長が見られた段階で改めてKPIの数値指標を設定するほうが現実的です。
目標・目的からKPIを選定するときの考え方
KPIの設計は、オウンドメディアの目的に沿ったもので、定量で計測可能なものにして、施策の実施によって改善可能な指標を選定することが重要です。
目的 | 目指す状態 | KPIの指標 |
---|---|---|
ブランディング | ブランドの好感度を上げる | SNSでのポジティブな発言、いいねの数 |
認知・啓発 | 企業名・サービス名の価値や名前を知っている人を増やす。 | UU、PV、セッション、滞在時間 |
リードの獲得 | リード数を増やす | 問い合わせ件数、資料ダウンロード数、CPA |
ECサイトへの流入 | ECサイトの流入を増やし売り上げを上げる | PV、ECサイトへの流入数 |
潤滑な運営
オウンドメディアを始めたばかりという場合、まずはオウンドメディアを成長させて運用を軌道に乗せることで、最初のステップはオウンドメディアとして確立することです。
その際には、以下のような指標や目標が立ち上げ当初からサイトを確立するまでのKPIの目安です。
- 公開するコンテンツの本数
- コンテンツ制作に関わる工数、費用
- 用意するコンテンツタイプの充実
オウンドメディア公開後は、予定通りコンテンツが更新できているかを確認し、できていない場合、原因によって対応も大きく異なる為、その原因を必ず明確化することが重要です。
ライティング、デザイン、コーディング、記事の公開など、各工程を見つめ直すことで何がボトルネックかがわかれば、その工程の担当者を増やしたり、外注するといった選択肢が見えてきます。
また、記事制作1本あたりのコストも評価指標として意識することが重要です。
専任の編集スタッフの対応よりも外注したほうがコストが安くなり、効率が上がる場合もある為、「内製化=低コスト」と固執せずに検討することで、運用がうまくいきます。
コンテンツの品質の評価
オウンドメディアの運営の軌道が乗った頃合いを見て、本格的に各コンテンツがどのように読まれ、評価されているのかを分析し、コンテンツの品質を評価していく必要が出てきます。
コンテンツの品質の評価は、Googleアナリティクスのアクセス解析ツールを使って、各数値を分析していきますが、最初に取りかかりたいのはGoogle サーチコンソールを使って狙ったキーワードが検索されて、コンテンツが読まれているかどうかです。
もし、想定したキーワードからの流入が少ない場合は、そのキーワードを意識したコンテンツ制作を心がけます。
また、コンテンツの品質が低かったり、期待したコンテンツでないとなれば、ユーザーはすぐにページから離脱してしまう為、コンテンツの文字量にもよりますが、平均滞在時間が30秒を下回る場合は注意が必要です。
この場合、コンテンツがきちんと読まれていない為、タイトルと本文の内容がマッチしているかなど、流入のクエリとコンテンツの親和性見直す必要があります。
そして回遊率は、サィトの訪問ユーザーがどのくらいページを閲覧しているかを表す指標で、回遊しやすいサイトは滞在時間が長くなり、メディアが訴求したい主題への理解もより深まりやすくなります。
このように、各ページの読者がより自然と興味を持つコンテンツにアクセスしやすく設計することも必要です。
オウンドメディアの目的とその先
コンテンツを中心としたオウンドメディアの場合、ECサイトと違い売上に直接影響することはほぼありませんが、BtoBの企業は、リード件数があります。
コンバージョンしたリードは、資料ダウンロードやお問い合わせなどの入力フォームから獲得ができ、Googleアナリティクスのコンバージョンで目標URLを指定し、目標の完了数とコンバージョン率の取得ができます。
これらのリードのお問い合わせの件数だけでなく、コンバージョンの経緯や地点を見て、本来の見込み客として見込めるホットリードかどうかを見極めて評価することも必要です。
ほかにも、サイト内に会員登録やメールマガジン登録などの機能があれば、獲得件数の評価が可能で、お問い合わせをはじめとした獲得件数の増加の鍵は、導線やその誘導が鍵になり、UIの適切な構築はもちろん、コンテンツ内への仕掛けづくりも必要です。
オウンドメディアと並行してECサイトを運営している場合は、ECサイトへの流入を、見込み客の送客として評価することができ、オウンドメディアで商品の使い方や有用性を伝え、ECサイトを経由して購入へとつなげていきます。
SNSを活用した配信
オウンドメディアの運用と並行して多様な配信先の確保も必要です。
広告出稿で収益を得ているオウンドメディアの場合、PVやUUが重要な指標になりますが、多くのオウンドメディアは情報配信で、必ずしもサイト自体にユーザーが来なくてもよく、SNS上でコンテンツを見てもらえれば目的達成となります。
その為、オウンドメディアだけでの情報配信に固執せず、SNSに適した形で情報を配信する分散型メディアで対応することも一つの方法ですが、それぞれのSNSにはそれぞれに特徴があり、アップデートも頻繁に行われる為、急にリーチが下がったり、画像表示のサイズが変わり、対応を迫られることも多くあります。
このようにSNSの運用上のルールについても常に配慮を怠たらないようにすることで、SNSはオウンドメディア以上にユーザーからダイレクトに反応が受け取れることができる為、得られた反応をすぐオウンドメテディアに反映することも忘れないようにすることが必要になります。
より価値の高いオウンドメディアとなるために
SNSは、過去に配信した内容はほぼ見られにくい特徴がありますが、一方オウンドメディアは、コンテンツを蓄積していき、その他の関連記事に誘導するなど、来訪したユーザーを満足させるような仕組みも構築できます。
その為、サイト内に情報が増えるほど、来訪動機が増え比例してPVやUUが増えこれらの情報をコントロールしながらコンテンツやデータを管理できる魅力があります。
オウンドメディアの運用と並行して、さまざまなデータの取得ができKPIを明確にしておくことで、確認項目が絞られ分析にかかる時間を短縮することができます。
改善のアクション、改善の意思決定に時間をかけていくようにしながら、それぞれの目標にあわせた成果を引き出し、目標、KPIを決めてそれらに到達するための施策を考えましょう。
参考サイト
参考 今さら聞けないオウンドメディアの意味とは?innova 参考 オウンドメディアのKPI本当にそれで大丈夫?事例を交えて目標設定を解説Web幹事