現代マーケティングの第一人者フィリップ・コトラー博士の1:5・5:25の法則

コトラーのイラスト

マーケティングの目標として、高い顧客価値を提供することが重要で、顧客価値の提供というものを考えたときに基準となるのが顧客満足です。

マーケティングの目標として、市場シェアを考える企業が多いといわれていますが、現代マーケティングの第一人者と言われているコトラーは、市場シェアはあくまでもこれまでのマーケティングの成果であり、将来を約束してくれるものではないとしています

つまり、将来の市場シェアを考えるのであれば、顧客満足を高める必要があるというのがコトラーの考え方で、顧客満足が低下するとそれにつれて市場シェアも下がり、顧客満足が上昇すれば市場シェアも高まってゆくという考え方です。

今回は、コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 から、現代マーケティングの第一人者フィリップ・コトラー博士のの1:5・5:25の法則についてご紹介します。

コトラー博士の2つの法則

マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー博士は、自著『マーケティング・マネジメント』の中で、「新規顧客の獲得には既存顧客維持の5倍のコストがかかる(1:5の法則)」、「顧客の離反を5%食い止めることで企業の利益率は25%向上する(5:25の法則)」という2つの法則を提唱しています。 

1:5の法則

1:5の法則は、既存顧客維持のコストの比率を1とした場合、新規顧客獲得のコストが5になるという比率を示したものです。

このように、新規顧客の開拓の場合名刺交換とアポ取り、商談を重ね、金額交渉をし・・・と言った手間や時間がかかり、広告を出し集客するなど、コスト(人、物、お金)が非常に多くかかります。

一方、既存顧客の維持によって売上を上げる方法として毎月・毎年といった定期的に売上をあげるサービスや商品を利用しつづけてもらう、追加でサービスや商品を購入してもらうなど、別の新規顧客を紹介してもらう・・・というように、新規顧客から売上を得るために必要なコストの5分の1で済むというものです。

このように、売上を上げる為に「新規顧客の開拓」は、中長期的に見ると非効率な行動としており、このコストの比率を示したのがこの1:5の法則です。

5:25の法則

5:25の法則は、顧客の維持率を5%改善すれば利益はその5倍の25%改善されることで、顧客が離れていく確率を下げることや、既存の顧客の売上げを増加させることが、企業の収益をあげるためには重要な考え⽅です。

既存顧客は紹介などを通じて、新たな顧客を連れてくる可能性があることや、前回よりも⾼額な商品を購⼊する可能性が⾼く、既存顧客には新規顧客のように商品説明が不要になるケースもあるため、販売コストが下がることも利益率の増加に繋がる理由にあげられます。

このように、2つの法則を単純に組み合わせて出る答えは、同じコストなら既存顧客の維持にかけたほうが利益は向上するということが、この法則で提唱されています。

顧客満足に注目する4つの理由

コトラーは、顧客満足に注目する理由として、主に4つを示しています。

新規顧客の獲得はコストが高い

これまでの顧客を維持する方が、新しく顧客を獲得するよりも、コストがかかりません。

新しい顧客を獲得するほうが、これまでの顧客を維持するよりも5倍のコストがかかり、お店のシステムや商品やサービスの説明に時間と労力が費やされます。

すでに顧客になっている場合、基本的な仕組みやサービスの内容については理解している為、それほど説明は必要なく新しいサービスの内容や仕組みの変更について説明さえすればよくなり、結果コストが低くなります。

顧客は常に去っていく

コトラーによると、企業は毎年平均して10%〜20%の顧客を失っているそうです。

それまでに時間とお金をかけて商品を納得してもらい、購入してもらったとしても、なんらかの理由で顧客が失われているといいます。

見てきたように、既存顧客の維持が新規顧客の獲得よりも効率的であるという点を考慮に入れれば、顧客を失うことが大きな意味を持つことを理解しなければなりません。

客離れを防げば利益率が上がる

客離れを防ぐことができれば、利益率を高めることができるというものです。

コトラーによれば、顧客離れを5%下げることで、利益は25%〜85%も上昇するといいます。

順客満足を提供することができれば、顧客をつなぎ止めることができ、高い利益率を確保できます。

長い付き合いの顧客は利益が高い

長い付き合いもあり満足度が高ければ、たとえ多少価格が高いものでも、購入してくれるようになり、顧客ひとりあたりの利益が高くなる傾向になります

顧客満足を提供し、顧客を維持することができれば、高い利益を得ることができ、マーケティングでは、顧客満足を達成した成果として企業が成長できるという発想が重要になります。

参考文献