クライアントワークとインハウスで、デザインレビューの意味はこんなに違う

レビューの違い

クライアントワークとインハウス、どちらの立場でもデザインの仕事をしてきましたが、同じ「デザインレビュー」という言葉を使っていても、その中身がまったくの別物だと感じることがよくあります。

今回は、この2つの違いについて、自分なりに整理してみようと思います。

誰が「市場」の代わりを務めるのか

クライアントワークとインハウスでは、そもそも「誰の判断をもって、そのデザインを良しとするのか」が大きく違います。

まず、インハウスの場合。

  • レビューするのは、社内のデザイナーや事業責任者、マーケ、営業など
  • そこで出る意見は、あくまで仮説の精度を上げるためのもの
  • レビューで「良い」と言われても、それが正解とは限らない
  • 逆に、社内で多少意見が割れていても、公開して検証することはできる
  • 最終的に良し悪しを決めるのは、ユーザーの行動や数字、問い合わせ、売上などの反応
  • つまり、レビューする人たちは「市場そのもの」ではなく、市場に出す前の仮説検証役に近い

一方、クライアントワークでは少し事情が変わります。

  • レビューするのは、クライアント側の担当者や意思決定者
  • クライアントが「良い」と言えば、その案は基本的に通る
  • 「違う」と言われれば、エンドユーザーに届く前でも止まる
  • ユーザーにとって良さそうでも、クライアントが納得しなければ採用されないことがある
  • 逆に、こちらが懸念を持っていても、クライアントの判断でそのまま進むこともある
  • つまりレビューの段階では、クライアント自身が事実上の「市場」として機能する

この違いはかなり大きいと思っています。

インハウスでは、社内レビュー → 公開 → ユーザーの反応 → 改善という流れを取りやすい。

一方、クライアントワークでは、制作 → クライアントレビュー → 承認 → 公開となり、実際のユーザーに届く前に、クライアントという一人、あるいは数人の意思決定者の判断によって、アウトプットの良し悪しがほぼ確定します。

もちろん、クライアント自身がユーザー理解や事業理解を最も深く持っているケースもあります。それでも構造としては、「市場に出して確かめる前に、誰かがGO/NO-GOを決める」という点で、インハウスとは大きく違います。

クライアントワークでは「クライアントの納得」が一つの大きなゴールになる。
インハウスでは「ユーザーの反応」が、その先に待っている。

同じデザインレビューでも、この前提が違うだけで、レビューで交わされる言葉の意味も、そこで感じる緊張感も、かなり変わってくる気がしています。

かかかず
かかかず

クライアントワークでは「クライアントの納得」が、インハウスでは「ユーザーの反応」が、それぞれ最終的なゴールになっている感覚があります。

デザイナーが「NO」と言えるかどうかも違う

クライアントワークでは、クライアントの意向に対して「それは違うと思います」と伝えるハードルが、関係性やビジネス上の力学によって、かなり高くなることがあります。

今後の契約や依頼にも関わってくるため、専門家としての意見を伝えつつも、最終的な判断は相手に委ねざるを得ない場面が少なくありません。

インハウスでは、同じ会社の一員として、もう少しフラットに意見をぶつけやすい環境であることが多いです。

もちろん役職や社内力学はありますが、少なくとも「次の依頼が来なくなるかもしれない」という緊張感とは種類が違います。

ただし、それが「言いやすいのに、あえて言わない」という別の問題につながることもあるので、一概にインハウスの方が健全とも言い切れないと思っています。

レビューの頻度と「区切り」の感覚も違う

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