隣の部署が何をしているか分からない組織で、デザイナーにできること

和気藹々

セクショナリズムや表彰制度について、ここまでいくつか書いてきましたが、今回は少し前向きな角度から、続きを考えてみようと思います。

テーマは、「情報が部署ごとに分断された組織の中で、デザイナーに何ができるかです。

「隣の部署が何をやっているか分からない」という声はよく聞く

事業会社の全社会議やキックオフでは、

  • 現場の声を十分に拾いきれていない
  • 隣の部署・グループが何をやっているか分からない

といった振り返りが語られる場面が、決して珍しくありません。

組織が大きくなるほど、情報は自然と部署ごとに分断されていくものなんだと思います。

かかかず
かかかず

こういう振り返りが社内で語られること自体は、むしろ健全なことだと思っています。問題に気づけているということですから。

その状態でデザインだけ依頼されると、局所最適になりやすい

たとえば、マーケティング部門からLPのデザインを依頼されたとします。

でも実際には、セールスは別の顧客課題を知っていて、CSは既存顧客の不満を把握。そして、プロダクト側は今後のロードマップを持っていて、経営は事業全体の方向性を描いている。

この状態で、マーケからのブリーフだけを受けて作ると、どれだけデザインの完成度が高くても、部分的にしか最適化されていないものになりやすいんだと思います。

かかかず
かかかず

デザインの質そのものより、そこに至るまでの情報の流れ方の方が、アウトプットの質を左右することって、事業会社では意外と多い気がしています。

デザイナーは「依頼の受け皿」ではなく、「情報の交差点」になれる

ここで、事業会社のデザイナーの役割は、単に依頼されたものを作ることから、部署間に散らばった情報をつなぎ、一つの体験としてまとめ上げることへと広がっていくんじゃないか?と思っています。

各部署と直接話し、それぞれが持っている情報の共通項を可視化する。

デザイナーだけがデザインするのではなく、営業が拾った言葉、CSが感じた違和感、開発が知っている制約、経営が描いている未来を、デザイナーが形にしていく。そんな関係性です。

ただし、自分自身が「新しい中間管理者」になってはいけない

ここで気をつけたいのが、以前書いた「間に入って功を誇る人」の話ともつながります。

功を誇る人「間に入って功を誇る人」というタイプについて、今だから分かること

情報の交差点になるということは、情報を自分が独占して管理するという意味ではありません。

むしろ目指すべきは、情報が自分を介さなくても、必要な人のあいだで直接流れる仕組みを作ることだと思います。
自分が情報のハブであり続けることは、一見価値があるように見えて、実は以前書いたセクショナリズムや中間者の問題を、形を変えて再生産してしまうリスクがあります。

かかかず
かかかず

情報の交差点になることと、情報を握って手放さないことは、似ているようで全然違うなと、書きながら改めて思いました。

良い事業会社デザイナーは、自分がいなくても判断できる状態を作る

理想は、デザインシステムやブランドガイド、Figmaのファイル、顧客理解のドキュメントといった形で、判断基準そのものを組織の共有財産にしておくことだと思います。

そうすれば、デザイナー自身がその場にいなくても、関わる人たちがある程度自走して判断できる状態が作れます。

分断された組織の中で、デザイナーが意識したいこと

  • 依頼元だけでなく、関係する部署にも話を聞きに行く: ブリーフの背景にある、他部署の事情も把握する
  • 情報を独占せず、共有できる形にする: 自分を介さないと分からない状態を作らない
  • 判断基準をドキュメント化する: デザインシステムやガイドラインとして、組織の共有財産にする
  • 自分が抜けても回る状態を目指す: 属人化ではなく、仕組みとして残す
  • 「作ること」より「つなぐこと」に価値を置く: 部署間の共通言語を作ることも、デザイナーの仕事だと捉える

さいごに

デザインすることより、組織に散らばった情報をつなぎ、同じ方向を向ける状態をデザインする。これは特定の会社の話というより、多くの事業会社に共通する課題であり、同時にデザイナーにとっての新しい機会でもあるんだと思います。

セクショナリズムや中間管理、表彰制度の話ともつながる、この一連の振り返りを通じて、自分がこれから組織にどう関わっていきたいかが、少しずつ言葉にできてきた気がしています。

カテゴリーのイラスト

同じカテゴリの記事一覧

ボタンの影